9月7日、門仲天井ホールで、芹沢さん、セントマーチンのクリス・ウェインライトらとトークセッション。BPAからは、井出と僕がちょっとお話させていただく。
クリスが計画しているのは、ライトアップをテーマにした東京の水辺でのアートプロジェクト。

photo:Hermitage Community Moorings (HCM)
http://www.hcmoorings.org/index.htm
彼は、ロンドンでも仲間たちと水辺のプロジェクトを進めていて、それが上の写真。テムズ川に浮かぶ係留区域の居住権を得て、この水上の空間を、アーティストやデザイナーの活動拠点にしようとしている。なかなかダイナミック、というか、僕らが数年前から妄想している水上ビレッジそのまんま。お互いの活動は全然知らなかったわけだが、ほぼ同時期に似たような活動を起こしていて、シンクロニシティを感じる。
また、行政との折衝の大変さも両国に通じるものがあるようで、なんというか志を同じくする者同士の妙な共感が生まれたりもする。
そんなこともあって、ディスカッションのほうは、管理行政の障壁とアートの可能性、が主題であった。
このテーマ、去年から折に触れて考えさせられてきた問題だが、結局のところ、アートが社会の突破口を開く場合であっても、それは「それがアートだから」ではない。「アート」というジャンルのものがあって、それが特効薬的に機能不全に陥った慣例や法制度に効くのではない。人格とは別にアートや芸術作品が機能するのではなく、ある人がなんらかの企てをして、しかしその人が特定の社会的な役割や社会的善意に準じて行動するのではなく、ごく個人的なエモーションに基づきながらも、利己的ではない目標に達しようとするときに、社会が動く(場合がある)。そのとき「それ」を、経済でも社会活動でもなく、もはや「アート」と呼んで諦めるほかないような局面が開かれ、そこにはじめて、アートが社会に働きかけるといっていい状況が生まれるのだろうと思う。
BPAは、もともとアートをつくるためのグループではないが、活動の性質上そのどこかで、腹をくくらねばならない制度的限界に突き当たる。それをどう乗り越えるか、という態度と方法論が、僕らにとってのアートなんだと思う。
さて、クリスのテムズのプロジェクトは、本格的な活動開始にはまだ時間がかかりそうで、実現できても08年とかそれくらいの「これから度」。だが、日本とUKの二軸があることで、これまでとは違うベクトルの動きが生まれていきそうな予感はする。
アーティストは、古来よりほっといても交流する性質の人たちなので、ここはせっかくだから日英の河川・港湾管理者が交流するような機会になったらいいと思う。「管理する人」は、自分の「管理思想」には疑いを持たない。また「管理する人」は、「管理してる自分」は、誰にも見られていないと思っている(よく矢面に立たされる「行政」というものも、担当者レベルでは悪気はないどころか、結構「いい人」も多い。なんだけど、総体としてみたらずいぶん不思議なロジックがひねりだされることもまた多い・・・)。そこに「別の考え方」や、「別の管理者の視線」が持ち込まれてしまうようなプロジェクトができれば、それは非常に健全なんじゃないかと思うのだ。
クリスが過去のライトアップで使った映像が今バンカートNYKパブで展示していますヨ。静かな作品です。
Posted by: sumiya : September 21, 2006 08:49 PMとても興味深く読みました。仕事中にこういう話題は危険だね。考えさせられるので。
「気持ちの問題」ってあると思います。精神的とか内面とか、感性とか、もっと言えば魂のことっつーか。これ、だれでも持ってますよね。楽しい嬉しい、大嫌い、不安などなど。それが全然反映されてないですよね、ぼくらの社会って。そういう制度になってるもん。だから総理大臣が祈祷しただけで大騒ぎしたりして。役所の人と話してると、絶望的になるのはそういうところなんだ、考えてみれば。彼らは職場では、感性を抑圧できるように高度に訓練されてますよね。だからぼくらとは全然話が合わないの。制度として合わないようにしてるから。
アートが精神のピュアな表現方法だとすれば、この2つの次元の違う話に共通の抜け道をつくる可能性があるかもしれない、と思いました。
でもこれって単なる表現活動の範囲を超えてるかもしれない。考え方の問題、すなわち思想・哲学、もっと言えば信条の話かね。これ、行政の人にはホント受けないんだわ。一種のタブーなんすかね。
防災のことで生きる・死ぬの話を持ち出したのもそんな状況に一石投じるつもりでした。
でももう、参拝とかそういう方法じゃなくて、なんかもっとおしゃれで洗練されたやりかたで気持ちのことを表現できるようにしたいんだよねー。「いやーやっぱ空って広いねー」とか「水の上で煎れたコーヒー旨いね」とか。
いかん、もうこんな時間だ。制度の世界に戻ります。